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私の本棚 その1


とにかく私は本が好きだ。本を読むのが好きだ。
いや、もっとはっきり言ってしまえば読むという行為が好きなのかもしれない。
別段誰にそうせよと言われたわけではないけれど、物心ついたころからそうだったのだから仕方がない。
だから、いつでもどこでも何か読めるものがないとちょっと落ち着かない。
チラシでもタウンページでも、なんでもいいのだ。
ただ、やっぱり質実共にこの“読欲”とでもいうべきものを満たしてくれるものは本だった。
当初、このサイト内でも月一くらいで『今月のオススメ』的な感じで本を紹介できる場所を作る予定だったが、
開設以来未だに実現には至っていない……orz
そこで今回、オススメ本の紹介する前に、私が一体どんな本を読んでいるのか、
あるいはどんな本を所有しているのかを披露しておこうかなと思います。
もちろん、自分自身がどんな本を読んできたかを確認したい気持ちも含めてですが。

ただ、自分で言うのもなんですが数が数なもので、
書庫に入れずに書斎の本棚に入っているものを紹介していこうと思います。

現在、私の書斎には4つの本棚があります。
その中でも今回はとにかく手元においておきたいという本を入れた本棚を紹介します。
それ以外の本棚はまた次回にでも。……

『私の本棚 その1』手元に置いておきたいの本たち

まず説明しておきたいのですが、
普段私が使用している机は4台あり、
そのうち3台はいわゆる“コの字”方に組み、真ん中の机に普段更新等で使用しているPCを置き、
右側には書き物や事務処理をする机、左側には読書用の机を置いています。
今回紹介する本棚はその読書用の机のまん前に置いてあります。

こんな感じの本棚と机。
まあ、読書用の机といっても、大概仕事用の資料・書類、
または未読本の山となっているのですがね。
で、ここを紹介するために

こんな感じで分けておこうと思います。
まず、本棚まわりから……。

【Aの棚】

免状とか賞状とか色々入っている箱を置いているだけの場所。

【Bの棚】

ここと更に下に二段棚があるのだけれど、いずれも辞書を入れている。
一番上の段には漢語辞典、英英辞典等、語学関係の辞書が多い。
二番目の棚には大型の語学辞典、更に資料用の参考辞典。
三段目には古典籍図版等を入れている。

【◎の机上】

このあたりには普段、これから読む本であったり仕事関係で使っている本なんかを平積みしている。
これから読もうとしている本に関しては、私がその本を手にするまでの間、
ここでじっくり熟成させているというイメージで置いている。
しばらく放っておくと、不思議なことに「親分、オイラそろそろ読みごろだぜ!」ぐらいの感じで、
背表紙が語りかけてきてくれたりするのだ。
とはいうものの、まだ所蔵先の決まっていない既読本も混ざったりしているけれど。
また、仕事関係で使っている本とは基本的に山を別にしている。
仕事で使う本というのは手元に近くてなんぼなのだから。…
今回は現在熟成中、または最近読んだ本をば……
おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ(日経BP)

サイゼリヤ創始者・石垣泰彦氏の初めての著書。
方々の社長さんたちが書いた本も色々読んではきたけれど、これは結構目からウロコなことが多かった。
発想を変えてみるということは大変だけれども、その先には実に面白い世界が待っている。
日本ボロ宿紀行(livedoorブックス)

こちらのサイトの管理人さんの著書。
↓↓↓↓
日本ボロ宿紀行
旅に出たくなる一冊! でも、なかなか時間のとれない現実…orz
ジェノサイド(角川書店)

ここまで綿密な調査・下地作りがされているミステリーを久々に読んだ。
なによりかなりページ的なボリュームがあるのに、全く飽きをこさせないストーリー展開には脱帽。
朝日キーワード2013

毎年目を通している本。今年もこの季節になったかと思う。
幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

新訳版が出たというので買ってみた。まあ、新訳は新訳の良さはあるかなと思う。
この本自体は古典的なSF作品の中でも名作に挙げられる一冊だが、
21世紀になって読んでも新鮮に感じられるストーリー、
そして結末に、普遍的な何かを感じずにはいられない。
清く正しい本棚の作り方

タイトル通り、本棚の作り方の本。ただ、“清く正しい”といっているところにミソがある。
これを読めば、日曜大工半分でテキトーな本棚を拵えるだけでは満足いかなくなります!
満洲切手 (角川選書)

久々にタイトルに惹かれて衝動買いしてしまった本。未読。
呪の思想 (平凡社ライブラリー)

未読。
摘録劉生日記 (岩波文庫)

未読。
風土記 (平凡社ライブラリー)

現代語訳本が必要にせまられたので購入。未読。
川端康成 [ちくま日本文学026]

名作「山の音」が収録されていたので購入。未読。
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(新潮社)

“木村政彦”という名前を久々に聞いた。そして、タイトルが秀逸。未読。
下山の思想 (幻冬舎新書)

未読。
オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ(東海大学出版)

実は私、数学がかなり好き。復刊ということで。
父・金正日と私 金正男独占告白(文芸春秋社)

未読。
文藝春秋 2012年 03月号

芥川賞受賞作掲載のものは必ず読むことにしている。
逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録(幻冬舎)

未読。
量子力学の哲学――非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)

久々に“読ませる”理数系の新書に出会った感が拭えなかった。
ロジャー・ペンローズのものも久々に読みたくなった。
弔辞―劇的な人生を送る言葉 (文春新書)

未読。
11 eleven(河出書房新社)

方々で話題だったそうなのでとりあえず購入。未読。

【①の棚】

芥川龍之介全集(岩波書店)

実は芥川龍之介の作品が好きだ。
最初は短編ばかりだから読みやすいということから読み始めたと記憶しているけれど、
結局この人の本を通して私は読書の楽しみというものを知ることとなる。
後記しますが、実際全集を持ち歩くことなんざしないので、全集とは別にもう一冊この本棚には芥川龍之介の抄本を置いています。
さて、幼少時より自分の読書体験の中でかなり重要な位置を占めていたこの一作家の全集を、
私は中学時分から長らく欲していたのですが、どうにも北海道の片田舎でこんなものを扱っている本屋もなく、
結局上京後、神田神保町の古書街で初めて目にすることができた。
かなり感動したことを覚えていますが、なにより、当時のこの全集の値段が値段だったので、本当にその時は眺めるだけでした。
でもまあ、コツコツとお金を貯めてなんとか2年がかりで手に入れることができました。
ただ、購入後半年経った頃には古書業界的に値崩れが始まったらしく、一桁安くなってましたがね……orz

ちなみにこの棚にある写真立て、左側は友人らと写した記念写真。そんで右側は芥川龍之介氏のお姿。
ちょっと見えづらいのですが、その更に右側には『私のノート 椒図志異(ひまわり社刊)』が置いてあります。
これはつい最近とある古書店で見つけたも のなのですが、芥川氏が大学時代に怪談話等をまとめたノートの複製です。
このノートの内容は全集にももちろん収録されていますが、こちらは肉筆版をそのまま複写していますので、
氏の息遣いまでもそのまま伝わってくる感があります。当人としては恥ずかしい限りなのでしょうけれどね。

【②の棚】

さて、ここも芥川龍之介氏関係の本が続きます。
芥川龍之介句集―我鬼全句(永田書房)
そのまんま、芥川氏の句集です。数年前、岩波文庫で新た発見された数句を加えたものが文庫化されましたが、
それ以前では全集を除き氏の句を読むにはこの一冊しかなかったとかなんとか。
影燈篭―芥川家の人々(人文書院)
これは芥川龍之介の姪であり、長男で俳優の比呂志氏の奥様でもあった芥川瑠璃子氏による随筆。
そして瑠璃子氏の著作の中で、私の一番のお気に入り。
瑠璃子氏にとって優しき叔父であった龍之介の姿を始め、その没後の芥川家の皆さんの姿が数々の思い出と共に時に優しく、
時に厳しい視点で描かれています。特に、いとこ同士で結婚することとなる比呂志氏との思い出などは、
読んでいるこちらも微笑まし くなってきます。
芥川龍之介 新潮日本文学アルバム〈13〉(新潮社)

知っている人は知っていると思いますが、本のタイトル通り、
様々な作家、著作人の写真を惜しみなく掲載している文学アルバムシリーズ。
中学時分にこの本を手に入れてからしばらく、写真に写る際には文豪気取りにポーズを真似てみたりなんだり、
かなりミーハーなことをしていました。
ちなみに、前記の写真立てにある芥川氏の写真は、この本からコピーしたものです。
◎羅生門(阿蘭陀書房)
多分こう書けばなんのことか芥川ファンの方なら分かるはずです。
宝物といえば宝物です。なんせ、初版本ですからw
追想芥川龍之介(筑摩書房)
芥川龍之介の奥様・文氏による随筆。
芥川ファンにとってはいわずと知れた名著というところでしょうか。
途中、龍之介氏の遺品がカラー写真で入っていたり、
また、夫婦であったからこそ語れる数々の思い出の中に、作家という一面を離れた龍之介氏の姿が垣間見れます。
芥川龍之介の顔 (三省堂選書 145)
芥川龍之介ファンの方の本。随筆や、研究者による著作、そういったものとは全然別の視点、
そして様々な資料をもとに人間・芥川龍之介の姿を書き上げた実に興味深い一冊。
一読後には、「この著者の方、本当に芥川龍之介が好きなんだなぁ」と思わざるを得ない。
また、収録されているエピソードの数も豊富で、芥川氏はおろか同時代の作家や友人・知人に至るまで、
当時の作家周辺の日常が垣間見れます。
タイトルにも あるとおり氏の“顔”についても考察がなされているのですが、
それがまた的を得ているというかなんというか。
芥川関係の本、ということを除いてもかなり面白く読める本です。
「星座」になった人―芥川龍之介次男・多加志の青春(新潮社)

芥川龍之介の長男・比呂志氏は俳優、三男・也寸志氏は作曲家、では次男は…?
と聞かれて答えられる方は少ないと思います。
それもそのはずで、まだ学生の時分に学徒動員で徴兵され、戦没されているからです。
生前の多加志氏を知る人へのインタヴュー、そしてそこから浮上した多加志氏の作品の存在。
数々の証言を経て、遂にその作品に目を通すことができた著者。
その軌跡の一部始終が細かく描かれた一冊。そして巻末にはその幻の作品も収録されています。
ただし、著者が執筆素人さんということで、かなり読みづらいです(私もあまり人のことは言えませんが…)が、
執念のこの一冊に私は拍手を送りたい。

【③の棚】

とりあえず左から順番に…。
百年の孤独(新潮社)

ガルシア・マルケス最高傑作。そして世界に誇る名著。
wiki先生に詳しいが、様々な挿話が織り成す独特のハーモニーは要約を必要とはしないという言葉にも肯ける、
もはや奇跡のような作品だと思う。
実は先日、十数年ぶりに読み返してみましたが、
死ぬまでに一度で良いからこんな作品を書いてみたいと思いました(無理だろうけど…orz)。
そして、寺山修司氏の遺作である『さらば箱舟』という映画はこの作品を原作においていますが、
原作からの膨らませ方といいなんといい、氏の想像力・構成力、そして感性の鋭さに改めて驚愕させられた次第。
神曲(河出書房新社)

この本の存在を初めて知ったのは、実は酒鬼薔薇事件がきっかけだった。
『暗い森』と題された酒鬼薔薇聖斗のノートの最後に、この『神曲』の冒頭の一文が挿入されていることを新聞で読んで知ったのだが、
当時の私としては「はてさて『神曲』とはなんぞや? ダンテとは誰ぞ?」と思うばかりで、でもやっぱり気になっていた。
そんなある日、道内の某大都市に出る機会を得た私は、すかさず近場の本屋へと立ち寄ってダンテの『神曲』を探したところ、
そこに唯一置いてあったのがこの本だった。
余談だが、岩波文庫でもフツーに出ているらしいことは後々知った。
ちなみにこの本、中途には様々な地獄絵が挿入されていたり、解説もかなり充実している。
ただ、例によって二段組でそこそこ大きな文字という、実に中途半端な段組をしているところが個人的に気に入らない。
というのも、私は二段組にするのならいっそのこと字もがっつり小さくして、
ページにびっしり文字が並ぶくらいにしてもらえた方が読み応えがあると思ってしまう。
決定版 太宰治全集〈13〉草稿(筑摩書房)

まず誤解がないようにいておきたいのだが、私は太宰治が嫌いだ。大っ嫌いだ。
そもそもこの太宰という男はd……(長くなるので以下略)
何はともあれ、嫌いには嫌いなのだ。ただ、小説家としての才能はピカイチであることは認めざるを得ない。
作家の創作を如実に感じられその秘密を垣間見られるものといえば、
なんといっても創作ノートあるいは草稿であろう。
この草稿の巻には太宰作品屈指の名作『人間失格』の草稿が収められているのだが、
それは今から十数年前、太宰の妻・美知子氏の遺品の中から新たに見つかった
157枚に及ぶ草稿が世に陽の目をみた最初の本となった。
波止場日記―労働と思索(みすず書房)

浪人時代に私(ひょんなことから一浪しました)が影響を受けた人物が二人いる。
一人は妖怪学者・井上円了。
そしてもう一人がこのエリック・ホッファーである。
彼の生涯についてはwiki先生に譲るとして、この本も知る人ぞ知る名著である。
だがそれはこの著者をしての日記である以前に、ノートを使った思考・考察・推敲の方法を知る上でとても勉強になる本だと思う。
なにより、時々開いて読み返すたびに様々な発見を私に与えてくれる。
中原中也詩集(白鳳社)

中学時代、中也の詩が大好きだった。
今となっては時々まどろっこしさを感じてしまったりするのだけど…。
一番好きなのは『生い立ちの朝』
二十歳の原点 ◎二十歳の原点ノート ◎二十歳の原点序章

高校時代、直接授業を受けたことはなかったけれど、とても親しくそしてお世話になった先生がいた。
その先生から勧められたのがこの本だった。
そして当時の私にとってはバイブルに近かった。
そのおかげでか、大学に通う頃には「あんた、学生運動とか好きでしょう?」なんていわれるほど影響があった。
別に好きではないんだけどもさぁ…。
人間失格(筑摩書房)

初版本。神保町で買った。
嫌いだけど、これはなんとなく手元においておきたい。
芥川龍之介未定稿集(岩波書店)

神田神保町の古書街で初めて買った本が実はこれ。いや、ただそれだけ。
羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇 (文春文庫)

全集のとこで前記した抄本。持ち歩いて読む分にはこれで十分。
わが半生(筑摩叢書)

映画『ラストエンペラー』を初めて観た時、時代というものの壮大さ
そして大きな大きなうねりを感じさせられ鳥肌が立った記憶がある。
その主人公・宣統帝こと愛新覚羅溥儀の自伝。
私自身、中国の歴史や古書がもともと好きだったが、この『わが半生』と、
溥儀の幼少時の家庭教師だったジョンストン氏の著書『紫禁城の黄昏』 (岩波文庫)を読んでからは、
特にその熱が上がった。
伊東静雄(ほるぷ出版)

明治以降の詩人で一番好きな詩人の詩集である。
正直、この人を超える詩人はもう出てこないのではないか、
この人の詩を解説などできる人なんているんだろうかと、よく思う。
そして、いわゆる天才といわれる人間がこの世には本当にいるんだと教えてくれた一冊だ。
百済観音―法隆寺 ◎百済観音 (東洋文庫)

百済観音が好きだ。ただただ単純に、そんな理由でわざわざ法隆寺まで見に行ったこと数知れず。
法隆寺刊のものはそんな折に買ってきたもの。
東洋文庫の方は多摩市高幡不動尊前にあった古本屋でたまたま見つけて買ったものだ。
松浦宮物語 (岩波文庫)

今は復刊しているようだけれど、私の所有するものは戦前に発行されたもの。
ちなみに私が一番好きな古典文学。
とはいえ、内容的には『浜松中納言物語』とベースは一緒。
零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)

いわずと知れた名著。そして岩波新書屈指の名著。
小学校高学年の時、地元の街にいた読書好きのご夫婦から「本が大好きなお兄ちゃんに」といわれていただいた本。
今思ってみると、自分のインド好き、数学好きを決定付けたのは
この一冊だったのかもしれない。
栽培植物と農耕の起源 (岩波新書)

この本の愛読者の一人に宮崎駿氏がいることをつい最近知った。
そして、スタジオジブリの名作『風の谷のナウシカ』が
宮崎氏をして作られた由縁が、なんとはなしに分かったような気がする。
希望は死なず―ドプチェク自伝(講談社)
アレクサンデル・ドプチェクという人物の名を覚えている人はどのくらいいるのだろう?
私の場合、ドプチェクという名前は初めてテレビの画面でその姿を観た時の衝撃と合わせて忘れられないのである。
彼の生涯は例によってwiki先生にゆずるけれど、
私の記憶にあるのは、一人ひとりを抱きしめるようにハグのジェスチャーをする老人と彼に向かって歓声をあげる大群衆だった。
当時幼かった私には何がどうしたものだかさっぱり分からなかったけれど、大きくなるにつれ、色々勉強していく中で、
そのときの光景が一体なんであったのか、そして何を意味していたのかがおぼろげながら分かり始めた時、
私の記憶はこの本と共に、ある種ホタルにも似た姿を眼前に浮かばせた。
ただ、今言えることといえば、やっぱり私は政治が嫌いだということだけだろうか。
世界文学全集 3 セルバンデス(集英社)

「世界一の小説はなんだ?」と聞かれれば、私はこれを挙げる。
セルバンデス『ドン・キホーテ』
この全集に入っている『ドン・キホーテ』は正編だけで、確か続編は別な形で持っていたはずなのだけれども、
どこを探しても見つからない。
誰かに貸してそのままになっているのかもしれない。
まあそれはさておき、人形劇やら絵本やらでおおよその話しの内容は知っている人も多いはずだが、
さて、本編を読んだことがあるという人は果たしてどのくらいいるだろうか?
私自身、この作品は世界最高の文学作品だと考えているが、
いかんせん、モタモタしている。
全然話しが進んでいかない。はっきり言ってまどろっこしいこと極まりない!
で、結構いろんな人が挫折あるいは途中で放り出したなんて話しはよく聞くところだ。
実際に読んでみたら分かる。
反時代的考察

の原書。
この本との出合いは父の本棚だった。そこにあった古めかしい(当時小学生だった自分からしたら、だけど)訳本は、文字だらけのなんとも小難しそうなものだった。
ただその中で、
「私は時代が正しい方向に向かっているならその反対の言動をとる。そして時代が誤った方向に向かっているなら、やっぱりその反対の言動をとる。」
という感じの意味の一文があったのを覚えている。
正直意味は分からなかった。
けれど、「なんかスンゲェ!」とは思った。
おかげでこんな天邪鬼な大人になってしまったのかもしれないけれど。
ゲオルゲ詩集 (岩波文庫)

この人の詩を初めて読んだのは『ドイツ名詩選』だとかいう本だったと思う。
詩の内容が好きだということではないけれど、
後々ドイツ語を勉強した際に改めて読み返してみたら、言葉の使い方なり語感なりがとても気に入った。
クラクラ日記 (ちくま文庫)

作家・坂口安吾氏の奥様・美千代さんによる随筆。
日本文学史なんぞが好きな人には結構有名な本かと思う。
フツーにエッセイとして読んでも程よい面白さがある。
急な用事などで電車みたいなもんで移動せにゃならんという時には必ず持っていく一冊である。
◎人生思うがまま(非売品)
名作RPG『ファイナルファンタジー』シリーズの音楽を生み出した植松伸夫氏のエッセイ集。
確かこの本は『ファイナルファンタジー1987-1994』
というアルバムの初回限定版についていたものだったと思う。
こんなところでいうのもなんだけれども、実は私は植松氏の大ファンである。
FFⅡが出た頃、友人のお兄ちゃんがプレイしていたのを何度かそばで見ていたことがある。
その時から今日に至るまでずっと氏の音楽に聞き惚れている。
何度もファンレター送ったっけなぁ……(遠い目)。
人生をひそかに楽しむための45の方法

幼馴染にもらった本。時々読み返すとクスっと笑えて良い。
世界の奇書(自由国民社)

これはいろんな意味でかなりキテいる本である。
奇書といわれる類のものは世にゴマンとあれど、その中からかなりも相当キテいるものを選りすぐり、
更にご丁寧にも綿密にて精密な解説つきなのだ。
眠れない夜などにたまに開くと、そこには新しい世界が拡がっていたりする。
明月記(国書刊行会 ◎藤原定家全歌集(国書刊行会)

「歴史上で一番好きな人は?」と聞かれたら、私はまっさきにこの藤原定家を挙げる。
好きなものは好きなのだからしょうがない。何が好きかといわれても、
やぱり彼の詠んだ歌も好きなら、性格、素行、人間性……どれも好きなのだ。
友達になりたいとは思わないけれど。……
そんな彼の日記。日本史なんかで習ったという人も多いかと思う。
そういえば、この日記の題になった“名月”っちゃあ、
かに座あたりの超新星爆発に関する記載からとられたという話しだが、
昨今オリオン座のベテルギウスが超新星爆発を起こしそうだとかなんとかニュースになってますなぁ。
歌集の方は、そんな定家氏の末裔で冷泉家第23代当主の冷泉為臣氏の編纂によるもの。
日本思想大系〈23〉古代中世芸術論(岩波書店)
雅楽関係の調べ物をしていた時に東大前の古本屋で見つけた一冊。
買った当初は該当箇所にしか目を通さなかったけれど、
後々他のページを繰ってみるに、かなり興味深い資料ばかりを掲載している逸品であることが判明。
本というのは時折こうした発見があるから面白い。
とまあ今回はこんな感じですかね。

例によって二回目がいつになるかは未定ですが、
残りの本棚も紹介していきたいと思います。

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